
寒い冬の日の朝でした。A君が、眠そうに目をこすりながら登園して来ました。「A君おはよう!」と声をかけると、一瞥しただけで無言で私の前を通り過ぎようとしました。私は「オイオイ、園長先生があいさつしているんだから、オハヨウぐらい言ってくれよ。眠そうな顔をして、朝顔洗って来たの?」と尋ねると、「こんなに寒いのに、顔なんか洗うわけないだろう」と言う。「朝顔を洗い、オハヨウゴザイマスとあいさつするのが人間の習慣なんだよ。朝、顔洗わなかったり、あいさつしないと、スッキリしないし、気持悪いだろう」と言うと「洗わなくとも気持悪くないもん!」と言って去って行きました。
しつけ、生活習慣は、そのことがつくことにより、社会生活がスムースに送れるようになるためのものです。決して号令をかけたり、命令をしてやらせることではありません。何故なら、大人の命令、声かけがなくなった時には、行動できなくなるからです。良い生活習慣が自然に身について、意識しなくともできるようになることが大切です。
しつけの基本は、第一に良いモデルがあることです。「親の言うようには育たないが、親のするようには育つ」と言うでしょう。だからみんな大人になると、親と全く同じような話し方をします。先生や保護者が良いモデルとなって、明るく、気持の良いあいさつを続けていると、子ども達は、大人を見て学習します。
第二に、繰り返し、繰り返し続けることです。初めはできなくとも、あいさつを投げかけて、決して強要したりせず、「あいさつしてよ」と声をかけ続け、そして、あいさつが返って来た時に、大げさに「○○ちゃん、あいさつしてくれた。ワァ、うれしい。今朝はとても気持がいいナ!」と言ってやり、そして繰り返し、繰り返しあいさつを続けることです。
第三に「○○ちやんはあいさつが上手でとても気持いいね」と、その行動をいつも誉めてあげることです。こうして、意識しなくとも自然に(無意識に)良い行動をするようになります。
さあ、今日からみんなで、明るく、気持の良いあいさつをしましょう。