意欲を育てる

(2007.10.1)

幼児期の子ども達にとって、最も大切なことは〝意欲〟を育てること〝自尊感情〟を育てることです。意欲がなく、すぐに逃げてしまう子どもが増えています。「できないから」「やったことがないから」「教えてもらってないから」と尻込みしてしまいます。誰もが初めてのことはやったことがないのです。やってみなければできるようにならないのです。

体の小さなUクンが、頼みもしないのに、「逆上がりできるよ、見せて上げる」と口をとがらせ、鉄棒をつかんだ。真剣な顔になって、自分の背丈よりも高い鉄棒をにらみつけ、大きく深呼吸すると、思いっ切り大地を蹴って、グンと鉄棒に体を引き、みごとに一回転した。私がオーバーに「オー、スゴイ!格好良い!」と叫ぶと「だって、いっぱい練習したんだ」と、手のひらを見せた。マメがつぶれて痛々しかった。「君はやれば何でもできちゃうんだ。スゴイゾ、スゴイゾ」と前より一層驚き、賞賛した。彼は少し鼻を高くして、気持ち良さそうに去って行った。

Tクンは、いつも遊びに入り込めず、夢中になれない。いつもフラフラと遊んでいる。リレーの練習の時、クラスのみんなが一生懸命走り、バトンを真剣に繋いでいるのに、途中で歩いてしまい、バトンを次の走者に渡さず、投げようとした。気持ちは分かります。みんなに抜かされ、自分のプライドはズタズタです。私はTクンに「早くたってダラダラ走っている子はビリ。遅くたって一生懸命頑張る子が一番で優勝なんだ。園長先生は、君が今度走る時は一生懸命応援するぞ。思い切り最後まで走り、次の人にバトンをしっかり渡せるね。他の誰が早く走ろうが、そんなこと関係ない。自分の力を出すこと!」と話した。次に走る時、彼は全力で走った。力を出し切って、地面にヘタリ込んだ。私はみんなの前で彼を讃えた。みんなが彼に拍手した。彼は下を向いてテレくさそうにしていたが、嬉しそうだった。

私達は、子ども達のためにと、叱咤激励しているつもりなのに、時として、子ども達の意欲や自信を奪っていることがあります。自尊感情を傷つけていることがあります。運動会、走るのが苦手な子もいます。確かに競い合うから面白くなるのですが、勝敗や順位より、力いっぱい自分の力を出すことが大切であることを伝え、そこを認めて、誉めてあげて欲しいと思います。僕は認められている、愛されていると感じることから、意欲が生まれ、自信が育ち、自尊感情を持てるようになります。 幼児期の子ども達は、誰もが一番で、僕はすごいんだ、何でもやればできるんだと思っているのが、健全だと思います。

イメージ画像