主体性・自主性を育てる・・・見守ること、待つこと

(2021.09.01)

みんなが育てている二十日大根を、Sちゃんが引き抜いてしまった。注意しても、見向きもせず、畑から出るように言っても知らんふり。実力行使して、畑の外に出すと、大暴れで私を蹴ったり、引っかいたりした。七夕の集まりの頃には、おとなしくなって、ニコニコ笑顔で私に寄ってきた。その姿を見て、反省した。二十日大根がどの位育っているか、見たかったので引き抜いてしまった。しかし、抜いてはいけないことを注意され、反省の葛藤の途中で、強制執行されたことがよほど悔しかったのではないか。あんなに、子ども達の主体性を大切にしよう。だから、子ども達が自分で考え、自主的に行動するまで待って、見守っていこうと言っていたのに、待てなかったことを深く反省した。

昨年の年長児が卒園する前に、幼稚園で何が一番楽しかった?と聞いたところ、思いがけない答えが返ってきた。運動会、遠足と言うと思っていた。なんと、子ども達だけの夏祭りとのことだった。子ども達だけで行った昨年の夏祭りは、子ども達にも、先生達にも、大好評だった。子ども達が主体で、自主的な活動にしようと、考えた。できる限り子ども達が自ら仕事に取組み、実体験の中で、いっぱい失敗することを、しっかり見守ることにした。

年長児が中心になって、お店の看板作り、ダンボール製のレジスター作り。カキ氷屋、ジュース屋、焼きそば屋、ソーセージ屋・・・各種ゲーム屋、ヨーヨー屋等など、それぞれの店で係分担をした。キッザニアより、立派な子どもだけの夏祭りだ。まずは年少、年中児が400円を握りしめ、お店を回る。保護者の皆様に伝えたい面白い話がいっぱいあるが、お伝えできるのは、ほんの一部。

年少児Aが、焼きそば屋で、「焼きそば、ちょうだい」と、年長児が「150円!」と言っても、また「焼きそばちょうだい!」と。「だから、150円だよ、お金出しな」とAはさらにきつい顔で「やだ、お金はお家に持って帰る」とお金を出さない。後から来た子が、次々とお金と交換に、焼きそばを買ってく様子を見ていた。暫くして、やっと理解したのか、サイフを開けて「どれ?」と中を見せる。「いいか、これが10円、これが50円、これが100円」と説明を受け、150円を教わり、今度は笑顔になって納得して買っていた。

年中児のB、開始と同時に、興奮して走り廻り、ゲーム、かき氷・・・そしてヨーヨーを6個も買い、ヨーヨーをぶら下げ「すごいでしょ?」と意気ヨーヨー。お昼近くになり、お腹がグーグー鳴る頃には、お金を使い果たし、スッテンテン。食べる物を買うお金がなくなり泣きベソ。これも体験。何に使うか、計画的にお金は使わなければならないこと、行動の予測、想像力の必要性を痛感させる事が大切。しかし、放っておくわけにいかないので、「どうしたらいい?」と考えさせた。彼は反省し、しばらく考え込んでいた。そして「ヨーヨーを半分返して、お金を返してもらう。」と、ヨーヨー屋さんに交渉に行った。

北竜台では、今年は夏休み前の保育の中に組み入れ、お店やさんごっこの延長として行った。しかし、時期が悪かった。当日は大雨。それでも子ども達は楽しそうだった。保護者の皆様には、子ども達の姿を、動画配信した。

子ども達の主体性、自主性、自発性を育てるように、沢山の体験をさせましょう。何でもやらせて、失敗させてあげましょう。それが力になります。

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