コロナ禍の影響とスマホ依存症

(2022.03.01)

久しぶりの電車だった。座って車中を見回した。誰もが頭を下げ、スマホに夢中になっていた。たまたま入ったレストラン。4人の若い女性が入って来た。席に座るやいなや、手にしたスマホに見入り、両手の親指を動かしていた。店員が注文を取りに来た一瞬だけ、スマホから目を離したが、すぐまたスマホに向かい、食べている間も目を離さなかった。その間、会話は一切なかった。人生で一番かしましく、おかしく、楽しい青春時代なのに。公園で遊んでいた小学生。みんなバラバラ、スマホに夢中になっていた。集まってはいるが、一緒に遊んでいなかった。

ホモサピエンスの誕生から進化の中で、最も重要な能力は、イマジネーションとコミュニケーションの能力だ。人類は、仲間を思い、共感し、協同し、集団の力を持つことで、生存し、発達してきた。

チャットやメールの着信音が鳴ると、スマホを手に取りたくなり、常に気になってしまう。「ちょっと見るだけ」を頻繁にやっていると、起きている間中、ずっとスクリーンに釘づけになる。そして、スマホに脳をハッキングされると、集中力も学習力も減退してしまう。スマホ依存症だ。

テクノロジーに精通している人ほど、使用を制限した方が良いと考えている。ジャスティン・ローゼンは、自分のフェイスブックの利用時間を制限することに決め、スナップチャットはすっぱり止めた。スマホ依存症は、ヘロインに匹敵すると言っている。彼がフェイスブックの「いいね」機能を開発した人だ。シリコンバレーの住民は、彼と同じ意見を持つ人がほとんどだ。あのステイーブ・ジョブスでさえ、自分の子どものiPadの使用には慎重になっている。

幼児期に育てなければならないのは、友達と一緒に遊ぶ中で、ケンカした相手の怒り・悲しみ、仲良く遊んだ友達との喜び、共感を感じることである。目や口の動き、顔全体の表情を見て、相手の心の動きを読み取り、理解し合い、心を通わせることが、人間として最も大切なことである。

休園・休校が続いている。子ども同士が語り合い、触れ合う機会が失なわれている。マスクで相手の表情を読み取る機会を奪われている。さらに、スマホを見続けたら、人間は退化してしまう。