「センス・オブ・ワンダー」

(2023.11.1)

レイチェル・カーソンの「センス・オブ・ワンダー」美しいもの、未知なるもの、神秘なものに目を見張る感性を子供達へ、一番大切な贈り物にしたい。・・・を再読した。忘れかけていた子ども達の世界が蘇ってきた。子ども達の世界で、失いかけているものではないか。その「感性を育むためには、子どもと一緒に自然を探索し、発見の喜びに胸をときめかせる大人が一人でも傍にいること」だと。

運動会が終わった雨の翌日、真っ青な秋空の中、全園児でお散歩に出かけた。裏門を出ると、すぐにキンモクセイの香りがした。子ども達もいい匂いと、周囲を見回すと、大きく育ったキンモクセイが、黄色い花をいっぱいつけて、あたりに芳香を放っていた。しばらく行くと、ススキ野原に出た。ススキを帽子につけると、僕にも取ってとせがまれた。しばらく行くとため池があり、子供たちが覗くと、大きなザリガニが、泥を巻き上げて逃げた。途中、色々な草花を見つけた。小さな美しい花に見とれたり、トノサマバッタを追いかけたり、カマキリやカタツムリを捕まえたり、動植物に触れながら、公園に着いた。グラウンドは、ソフトボールをしていたので入れなかった。石の壁をよじ登ったり、木登りをする子、刈り込まれた草地で鬼ごっこやじゃれつき遊びをしたりして、たっぷり遊んだ。疲れたので、グラウンド入口の階段に座って、遠くのソフトボールをしている人達を眺めていると、公園の手入れをしていたオバさんからもらったコスモスを花束にして女の子達が集まって来た。「何をしているの?」と「おじいちゃん達のソフトボールを見ているんだ」と言うと、「どうしておじいちゃんって分かるの?」と。「うん、園長ゴリラは何でもわかるんだ」と答えた。(動きがおじいちゃんだった)。白い雲がひとつ、青空にぽっかり浮かんでいた。子ども達も、白い雲を見ながら「雲に乗ってみたいな」「雲ってどうなっているんだろう」などと想像を膨らませていた。そして、「お腹が空いたから、そろそろ幼稚園に帰ろう」と帰路に着いた。子ども達には、こういう生活が大切だと思った。

その日の夕刻、事務所で机に向かっていると、遠くからたくさんの虫の音が。虫の音に誘われ外にでると、風がひんやりと頬をなでた。秋の深まりの中、虫の音に耳を傾けた。タイパの忙しい時代、童謡「むしのこえ」に登場する虫たちの声を、じっと聴き分ける。

鈴虫の音をくらべむと目をつむる