「私の愉快な仲間たち」

(2024.1.3)

昨年は戦争、環境破壊、少子化と、暗い話ばかりだったので、新年は楽しい愉快なお話をしたい。


①私は、午前中は、来客を断って、できる限り、子ども達と遊ぶことにしている。年少さん達と走り回って遊んでいるところに、来客があった。仕方なく、子ども達に「お客さんだから、タイム」と言って、部屋に入った。来客と話をしていると、窓から数人が顔を出し、「園長ゴリラ、おいで」と言った。「もう少し待って」と話を続けた。少し経つと、またやって来て、今度は少し強い口調で。「まだいるの?少しって言ったでしょ?」来客は、困ったような顔をしてニガ笑い。「イヤー参ったな、大変お邪魔虫のようで、そろそろ・・・」腰を上げると「オーイ、もう帰るってよ、良かったなー」と、来客の退散を喜び合っていた。来客は、「貴重なお時間をありがとうございました。」とスゴスゴ帰っていった。子ども達と私との貴重な時間を邪魔する者は、来客と言えども、子ども達は遠慮会釈もなく追い返してしまう。


②大人の一年の差は、どうという事もないが、子ども達の一年は、大変大きく重要だ。誕生会の後、4歳になったA君が、胸を張ってやって来た。「僕はもう4歳なんだ」と言うと、横にいたB君が「なんだ、まだ4歳か、僕なんか5歳だ」と誇らしげに言った。すると、4歳のA君は、よほど悔しかったのか、ボクのおとうさんなんか15歳だ!」とお父さんを持ち出し反撃した。A君はおそらく15までしか数えられなく、それが最大だったのだろう。すると、そのやりとりを聞いていた6歳のC君が、「お前ら、バカだな、オレ(年長になるとオレになる)のお兄ちゃんは15歳で中学生だぞ、中学生のお父さんなんかいるわけない。お父さんは、だいたい30歳以上だ」と言った。AもBも神妙になって、C君を尊敬の眼差しで見上げた。すると、C君が、「園長先生はいくつ?」と、矛先を私に向けた。私は彼等に小石を拾ってくるように伝えた。小石を1つづつ並べながら、数を数え続けた。一つ、二つ三つ四つ・・・これがA君、五つB君、六つC君そして、小石を並べながら数を数え続けた。30を過ぎる頃には、「ここらがお父さん達」と言って、更に続けると、ドンドン子ども達が集まってきて、40を過ぎる頃から「ワー、スゲー」と言い出し大騒ぎ。そして、石が60になり「スゲー、スゲー」は最高潮に。しかし、数の分かるC君は。50を過ぎる頃から黙り込んでしまった。そして「60」で手を止めると、C君は静かに寂しそうに私を見上げ「もうすぐ死んじゃうんだね」とポツリと言った。あれから20年、彼も26歳になっている。どんな男になっているだろう。 私は、まだまだ元気いっぱいだ。