ビル・ゲイツが自伝の中で、幼少期の両親との関係が、その後の人生に大きく影響していると書いていました。「両親はハイキングなど多くの体験をさせてくれ、多くの自由を与えてくれて、いろいろなことにチャレンジし、熱中させてくれた。そうした両親を持てたことは、とても幸運だった。今は子どもが外で思い切り遊んだり、新しいことに挑戦したり、ケガをすることに対して、親が制限しすぎていると懸念している。」ビル・ゲイツが言っているように、子ども達が自由に活動し、思い切り遊んだり、新しいことにチャレンジしたりすればケガをすることがある。
九州の過疎地にある、人気の幼稚園が話題になった。その園を紹介している本を読んだ友人が、君のやってきたことをやっている園がある、と知らせてきた。読んでみると、その通りだった。標語まで同じだった。「楽しくなければ幼稚園でない」「幼児期は根っ子の時代です。」子ども達を自由に、いっぱい遊ばせます。ここまでは本園と同じだが、次からは本園よりも強烈。「人格形成の基礎づくりとしての重要な幼児教育を行うにあたり、園と保護者の連携体制が必要であり、このために保護者に守って頂きたいことが、細かく書かれている。●園の教育方針を全面的に信頼すること。●園と連携して、幸せにつながる子育てに取り組むこと・・・等々。そして●「子どもには怪我をする権利があります。能動的・活動的な遊びの中で、時には怪我をし、その経験の中で、慎重さを身に着けたり、痛みを知ることで、優しさ、思いやりの心が芽生えたりします。時と場合によりますが、すぐに「危ない!」というと子どもの冒険心や俊敏性が身に付く機会を奪いすぎないように見守っていきたい」と記されていた。「怪我をした際「先生の管理はどうなっているのか?」といったご意見があります。先生達は出来る限り見ております。それでも怪我をしてしまうのが子どもです。子ども達は怪我や失敗を重ね「自ら学ぶ」ことを知るのです。遊びの中で、ケガをさせた子を追及し、親に謝罪させろとか、退園させろといった要望は受け入れることはできません。」そして、最後に、●「入園後であっても、園に対して、過剰な異議を唱える、トラブルを起こす等の行為が見られた場合は、退園して頂く場合がございますのでご了承下さい。」と言っている。
本園でも、数年に一度であるが「ブランコから落ちた」「鉄棒から落ちた」と帰宅後子どもが言っていた、というだけで、怪我もしていないのに「担任は見ていたのか、家に連絡もない」とか、しつこく怒鳴り込んでくる親がいる。子ども同士が遊んでいて、怪我をした際に、相手の子を教えろ、親子で謝罪に来い」と執拗に要求する親がいる。カスハラならぬペアハラ(ペアレントハラスメント)。先生方は全体を注意して見ているが、走り回りぶつかれば、スモウを取れば、怪我をすることもある。こうなると、先生方も、子ども達を自由にしないで管理し、行動を規制するようになる。管理・規制の下では怪我をしない。沢山遊び、活動的な子はいろいろな体験をする。人と接する機会も多いので、言葉もコミュニケーション能力も高くなり、大きく発達する。活動的ですから、体も強く、エネルギッシュな分、給食も沢山食べ、体温も高く、風邪にかかりにくく、かかっても早く治癒する。ビル・ゲイツの親は、自由に沢山の経験をさせてくれた。ふたばの親も、ビル・ゲイツの親のように、子どもの未来を保証し、いっぱい遊ばせよう。そして、子どもの怪我をする権利を保証しよう。