「ほめて育てる子育て」「ほめない子育て」

(2024.5.1)

  難しい時代になった。ちょっと注意、叱責しただけで心が折れてしまう若者が多くなった。折れるうちはまだいい。大したことでないのに、自殺してしまうことだってあるという。若い人に何かいうのに、先輩・上司はビクビクしているのではないか。決してよいことではないが、私の育った時代は、ゲンコツ・ビンタは当たり前だった。だいたい〇〇ハラなんて言葉はなかった


  若い人の60%以上が「人前でほめられたくない」と考えているという。「ほめる時は、人前の方が効果的」と、何かで読んで実践してきたのに、どうして?人前で誉められたくないのは、自己肯定感の低さにあり、褒めるだけでは自己肯定感は育たないという。


  現代は、子どものギャング集団が、大人の干渉から逃れ、地域を自由に走り回って遊び、ぶつかり合い、協力し合い、沢山の体験を通して自分を作る環境はない。親も教師も神経質に関わるようになっている。いつも他人と比較され、評価されていると、子どもは親の顔色を見ながら、ほめられるように行動するようになり、自主性・自信を失い、依存的になる。いわゆる大人に都合のよい「良い子」になってしまう。


  昔、「誰かと自分を比較しなくなった時に、自分が好きになりました」というコマーシャルがTVで流れていた。子どもは大人の視線を感じて、自分が誰かと比較されていると感じている。自己肯定感は、他人との比較、大人の評価の中では育たない。顔を真っ赤にして、逆上がりにチャレンジしている子に、余計な口出しをすると、スーと引いて去ってしまうことがある。ある時、パッとできると、頼みもしないのに、「見せてあげる」と鼻を高く、誇らし気にやってみせる。「すごい!」「やればできるんだ」と共感すると、自尊感情、肯定感を高める。自主的・主体的に自由に、夢中になって、辛く苦しい状況を乗り越え、「できた」「やった!」と、思う時、自己肯定感を高める。大人は、そういう時に、「共感」するだけで良い。またあまり叱り過ぎると、鬱屈してしまう。危険なこと、弱い者いじめなど、ルールに反しない限り、余計な口出しはせず、チャレンジ、試行錯誤する環境に、置いてあげるだけで良い。